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2011年9月13日 (火曜日)

(その17)親切にされた話

先日、京都駅からバスに乗ったときのことです。

 バスは混んでいて、立ちっぱなしでしたが、西大路通を上がっていくあいだに、大勢のお客さんが降りていきました。当然空席ができます。運転手が

 「危険ですので、お立ちのお客様は座席にお座りいただくようお願いします」

 とアナウンスしました。私は、どうせもうすぐ降りるのだから、いまさら座るのも面倒くさいと思い、真ん中あたりで立ったまま発車するのを待っていました。すると、運転手がゆっくりバスを走らせながら、車内のミラーを見て

 「おじいさん、危ないですから座ってください!」

 と言います。いったいどんなよぼよぼのじじぃが立っているのか? と思って車内を見回すと、十人ほどの乗客の中で立っているのは私だけです。

 『なんやとぉ! おじいさんとはオレのことかぁ! 確かに髪の毛は白くなったけど、まだ五十代の前半やでぇ。おじいさんと呼ばれる年でもないやろー』

 いささかカチンときた私は、文句のひとつも言うてやらなあかん と思い、ツカツカと運転席の後ろのほうまで歩いて行きました。と、そのとき一瞬バスが揺れ、思わずふらついて手すりにしがみつきました。そして、運転席の後ろから口をついて出た言葉は次の一言でした。

 「ありがとう。ほな座らせてもらうわ」

 私はそのまま左側の優先席に「ヨイショ」と言いながら腰を下ろしました。

ーーーーーーーーーー

  【京都市民のひとりとして、市バスを応援しています!】

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コメント

朝から楽しませてもらいました。

最後の「市バス応援」も、とどめで楽しい。

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