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2011年9月30日 (金曜日)

(その34)狐はなぜ「キツネ」というか?

 昔、美濃の国のある男が、野原で美しい女性を見つけて結婚した。やがて女は妊娠して男の子が生まれた。 同じ日、男が飼っている犬も子犬を生んだ。ところが、生まれた子犬はいつも、女に吠えかかる。女は怖がって「犬を殺して」と願うが、かわいそうなのでそのままにしていた。

 あるとき、女が米つき小屋に入ろうとしたところ、親犬が女に噛み付こうと吠え立てた。驚いた女は、たちまち狐の姿になって、かごの上に逃げた。妻が狐とわかったからには、一緒に暮らすことはできない。男は女に言った。

 「お前とは子供までできた仲ではないか。忘れはしない。いつでも来ておくれ。一緒に寝よう」

 それ以来、女はときどき男の家にやってきては一緒に寝た。なので、それ以来、「キツネ(来つ寝)」と名づけることになった。

 男との間に生まれた子供の名前もキツネと言い、力持ちで走るのも早く、まるで鳥のようだった

・・・・・・

 というような話が「日本霊異記」に書いてあります。

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