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2011年11月 9日 (水曜日)

(その74)「細雪」(谷崎潤一郎著)を読んで

谷崎潤一郎の文章にハマりました。

今から70年くらい前の、芦屋のいわゆる“ええとこの家”の四姉妹を中心にした人間模様のお話です。

 
無口でおしとやかな三女の雪子のお見合いが何度もうまくいかなかったり、自由奔放な性格の四女の妙子が男との恋愛問題を繰り返したり、それらの間に立って世間体を気にする長女の鶴子と次女の幸子の夫婦たち。戦争の危機が迫る昭和13年前後の話ですが、ええとこの家なので、時局にはあまり関係なく展開していきます。

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(1982年、東宝で映画化されたときの新潮文庫表紙)

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これまでに谷崎の作品は『少将滋幹の母』を読んだ後『春琴抄』と『盲目物語』を読みました。いずれも句読点が少なく一見読みにくそうに思えても、なぜかすらすらと頭に入っていくのが不思議です。

『細雪』の、どこがどういうふうにおもしろいのかというと、実はうまく言い表せません。モーツアルト「ピアノ協奏曲20番」の第二楽章を初めて聴いたときに『世の中にこんなにもすばらしい音楽があったのか!』と感激しました。同様に、今回谷崎潤一郎の小説を読んで、中でも『細雪』を読んで、『世の中にこんなにもすばらしい文章があったのか!』と感激しました。ほかに言いようがありません。

 

登場人物が皆、関西弁を使います。その表現のうまさが際立っているからでしょうか。ストーリーの展開だけで言えば、もっとワクワクする小説はいくらでもあるでしょう。しかし日本語の書き言葉としての「物語」を考えたときに、今までに読んだ中では最高のものです。

 

谷崎潤一郎はこの小説を書くのに足掛け6年を費やしたそうです。それも毎日6〜7時間書いたそうですから、その労力たるや大変なものです。いかに文豪といえども、本質的には努力によって成り立っていることがわかります。また谷崎はこの小説を書くにあたって、源氏物語に影響を受けたと言われています。

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