« 暫く と 漸く | トップページ | 窮鼠猫を噛む »

2011年12月24日 (土曜日)

柳宗元の『江雪』を、こう…説明してみた。 

江雪(こうせつ)(柳宗元)

 

千山鳥飛絶(せんざんとりとぶことたえ)

萬径人蹤滅(ばんけいじんしょうめっす)

弧舟蓑笠翁(こしゅうさりゅうのおきな)

独釣寒江雪(ひとりつるかんこうのゆき

 

ーーーーーーーーーー

山という山から飛ぶ鳥が見えなくなり、道という道から人の足跡が消えてしまった。(そんな中)小舟に乗ったミノカサ姿の老人が、独り雪降る川で釣り糸を垂れている

…意訳すれば、こんな感じになるのでしょうが、どんなにうまく訳したところで、この詩の言い回しにはかないません。

まず、起句~承句へと見事な対句です。

「せんざん とりとぶことたえ」「ばんけい じんしょうめっす」

音のない殺風景な大自然の中に作者はいます。そして転句、

「こしゅう さりゅうのおきな」

で場面転換をします。ここまで、視線は山から道へ、さらに川の小舟へと動いています。まるで動画を見ているかのような、すばらしい表現力です。私自身はミノカサを『さりゅう』と読み下すところで、背筋がゾクゾクっとします。

結句では小舟のクローズアップです。

「ひとりつる かんこうのゆき」

ここで読者の頭の中がそれまでの灰色イメージから、真っ白な雪景色にパァーっと変わります。いやー、うまくまとめたものです。

「千山」「萬径」という大きな風景と「孤舟」「独釣」という小さな心象が見事に表現されています。

柳宗元さん、すばらしい詩をありがとう!(笑)

【119】

« 暫く と 漸く | トップページ | 窮鼠猫を噛む »

勝手に鑑賞「古今の詩歌」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 柳宗元の『江雪』を、こう…説明してみた。 :

« 暫く と 漸く | トップページ | 窮鼠猫を噛む »