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2011年12月31日 (土曜日)

けさよりはゆきけのくものあとはれてみとりにかへるはるのはつそら

災害の多かった2011年。景気も芳しくなく、暗い世相の一年でした。新年を迎えるにあたっても、どこかおめでたい気分になれないのが残念です。2012年は活気にあふれた一年になってほしいものです。ここでは、来るべき新年に期待をこめて、新春を詠んだ和歌を鑑賞してみます。表題の

【今朝よりは雪気の雲の跡はれて緑にかえる春の初空】

です。

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この歌は「夫木和歌抄(ふぼくわかしょう)」という鎌倉時代の歌集に載っている堀川大納言 源道具(みなもとのみちとも)の作品です。(※源通具とも書きます)

“初空”とは元日の大空のことで、正月を寿ぐ言い方です。意訳すると

今朝は雪雲の跡かたもなく、緑にあふれた新年らしい元日の大空であることよ

 

ですが『(去年は)雪模様だけでなく世相も暗い日々が続いた。(今年は)この広い青空のように、いいことづくめの晴れ晴れとした一年であってほしいなぁ』という 願望が込められています。

 

また「いちようらいふく」という言葉があります。

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冬が終わり、春がきて、太陽が日に日に戻ってくる。物事がよいほうに向かうよ~

という意味です。2011年から2012年へと心機一転、明るい世の中になってほしいものです。西暦2012年。平成二十四年。壬辰(みずのえたつ)。どうぞよろしくお願いします。

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※上の和歌ですが、ほととんぼ的には“はるのはつそら”という言い回しが好きです。いかにもお正月の空というイメージがあります。また『一陽来復』は(簡単に言えば占い)からきているそうで、なかなか訳すのは難しいですが、本来は一年で一番昼の短い冬至に使う言葉で『太陽が一まわりして来て、これからまた日が長くなる』というようなニュアンスです。“いちようらいふく”という言い回しに言葉の美しさを感じる、といえば大げさでしょうか(笑)

 

※古の人々は自然の恵み・脅威を、季節の移ろいとともに日々の生活に対比させて、たくさんの詩歌・ことわざ、ひいては文化というものを生みだしてきました。ほととんぼのブログは、そんなことをテーマに書いております。

 

【126】

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