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2011年12月12日 (月曜日)

「痴人の愛」(谷崎潤一郎著)を読んで

“ナオミ”という女性をめぐる男たちの物語というか、“ナオミ”に弄ばれる男の話です。以下、あらすじを書いてみます。

 

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【譲治はナオミが15歳のころに見初めて以来、自分の手元に置いて英語を教えたり習い事をさせたり、理想の女性に育てあげていきます。ところがこのナオミが一筋縄ではいかない。持って生まれた奔放な性格のせいか、譲治に隠れて若い男や外国人と次々に付き合いだします。二人は一応夫婦なのですが、けんかの後譲治はナオミを追い出します。でもナオミを忘れることができない。ナオミも譲治が自分のことを忘れられないことを知っている。ナオミは譲治のところにある自分の荷物を少しずつ取りに来ては思わせぶりな態度で譲治の気を引きます。そして結局二人はお互いにあいまいな関係のまま元のさやに戻っていく…】

 

とまあ、こんな話です。あまり感心しない男女の痴話話といえばそれまでなんですが、これがまた、ホントによく書けているんですねぇ。中でも、登場人物ひとりひとりの心理描写にすぐれています。これぞオトナの小説って感じです。

  

「痴人の愛」は90年ちかく前の大正時代に書かれました。人間社会は90年くらいでは全然変わりませんね。現代でも十分通用する話になっています。谷崎の小説には独特の“味”があります。なんといっても文章は最高に上手い。

 

恐るべし、大谷崎!

 

【107】

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