贈王倫(李白)
李白の『贈王倫(王倫に贈る)』という詩が好きです。
李白乗舟将欲行(りはくふねにのってまさにゆかんとほっす)
忽聞岸上踏歌声(たちまちきくがんじょうとうかのこえ)
桃花潭水深千尺(とうかたんすいふかさせんじゃく)
不及王倫送我情(およばすおうりんわれをおくるのじょうに)
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「李白(私)が舟に乗ってまさに出発しようとしたそのとき、突然岸上で足を踏みならしながら歌う声が聞こえてきた。(あぁ)この千尺もあるという桃花潭の深ささえ、私を送ってくれる王倫の情の深さには及ばない」
いつもながら、意訳すると元の詩のよさが半減してしまいます。桃花潭とは安徽省涇県のあたりの川の淵なのだそうです。googleマップの航空写真ではくねくねと蛇行したなんでもない川のようで、とても深さ千尺もあるようには思えませんが、そこは李白の詩。違和感を感じません。特に結句で「およばず」と言いきってから「おうりんわれをおくるのじょうに」と読み下すのが、なんとも言えない余情を醸し出しています。こういう詩を読むたびに、ぜひとも現地を見に行ってみたい衝動に駆られます(笑)いい詩です。
(すぐ前の記事で書いた「忽」(たちまち・ゆるがせ) つながりで、この詩を思い出した次第)
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