蕪村と梅と北野天満宮
二月二十五日は「梅花祭」。朝の雨も昼ごろには止み、大賑わいの北野天満宮におまいりした。北野天満宮といえば梅、梅といえば蕪村の句ということで、今回は何句か鑑賞しながら境内を歩いてみた。
【東風吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな】
この歌は菅公の御歌(拾遺集)。まずは、敬意を表して門前にて記念撮影。
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大賑わいの参道&縁日を抜け、境内を進んで行く。梅花祭当日とはいえ、梅はせいぜい二分~三分咲き。梅見にはまだちょっと早いかな? って感じ。
そんな中、上の梅↑と
【二もとの梅に遅速を愛す哉(ふたもとのうめにちそくをあいすかな)】
下の梅と↓
まず一句目、なかなかいい。さすがに蕪村、『愛す哉』がすばらしい。さらにあたりをよく見てみれば…
↑この枝も
【こちの梅も隣のうめも咲きにけり(こちのうめもとなりのうめもさきにけり)】
この枝も↓
こういう句を正岡子規は写生の手本としたのだろうか? 私にはなんでもない句としか思えないが…(苦笑) とりあえず、それなりに咲いていることに気がついた。
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梅花祭に目を向けてみる。境内の広いスペースにて野点のイベントが開かれていた。もちろん有料席。外から覗き込んで写真を撮る人多数。そこで次の句…
【しら梅や誰むかしより垣の外(しらうめやたがむかしよりかきのそと)】
蕪村が詠んだ情景とは違うだろうけど、写真のイメージには合っている。 ん? 現代の野点席は垣ではなく、紅白の幕に囲まれていた。梅も白梅ではなく紅梅。まぁいいか。蕪村の頃にも、やらせの句はあったろう(笑)
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さらに梅を求めて境内をうろうろと…
結構咲いている。↑こっちにも
【梅遠近南すべく北すべく(うめおちこちみんなみすべくきたすべく)】
↓こっちにも
この句、遠近と書いて『おちこち』、南を『みんなみ』と調べがいい。こういう句が蕪村には多いと思うけどなぁ。ただの写生句とは思えない。
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ところで私の一番好きな蕪村の梅の句は
【しら梅や北野の茶店にすまひ取(しらうめやきたののちゃやにすもうとり)】
なんといっても北野の地名が出てくるのがいい。ぜひここで載せておきたいのだが、まさかお相撲さんが今日梅見に来ているとは思えないし、この句に合った写真が撮れない。仕方ないので別案を工夫した。
一応白梅は写っている。お相撲さんの代わりに太った牛さんで代用。これに茶屋がアレンジできていれば言うことはないのだけれど、そうは簡単にいかない。来年の課題ということにしておこう(苦笑)
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蕪村の梅の句、ほかにもたくさんあるけれど、最後にもう一句。
【梅咲きぬどれがむめやらうめじゃやら】
今回はここまで。
【182】
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