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2012年2月23日 (木曜日)

幾つになっても…

京都の市バスは後ろから乗り、降りるときは運転手側、前扉からです。

二月のある日、たまたま乗った市バス内でこんなことがありました。

ーーーーーーーーーー

『次は○○です』 と車内放送があって、すぐに一人のおばあちゃんが優先席から立ち上がりました。八十歳? いやぁ八十五歳くらいかなあ。ゆっくり、ふらふらと、腰を海老のように曲げて歩く姿は、介護が必要なくらいです。

“そんなに早くから立たなくても、バス停に着いてからでいいのに。結構揺れるから危ないなぁ”

おばあちゃんのあとから二人の女性が続きます。しばらくしてバス停に到着。おばあちゃんは降りようとしません。運転手が

「降りはらへんのですか?」

と声をかけても無言。後ろの女性は、さっさとおばあちゃんの横をすり抜けて降りていきました。おばあちゃんは、運転席のすぐ後ろの手すりを持ったまま立っています。

あ、降りるバス停を間違えたんだ。かなり高齢者だもんなぁ。自分の降りるバス停がわからなくてうろたえているのかな?”

運転手も、バスを発車させたものの、危険を感じてかゆっくりと走らせています。おそらく私と同じことを考えて、気を配っているのでしょう。おばあちゃんはすぐに降車ボタンを押しました。次のバス停までの1分間、慎重にバスは進んでいきました。そして到着。おばあちゃんは背中を大きく曲げたまま、敬老乗車証をバッグから出してドアの開くのを待っています。ドアが開きました。

ここでおばあちゃんは、すっと背筋を伸ばして、運転手に

お疲れさん! ありがとう!

と言って、さっそうとバスを降りて行きました。

“え? 何? いまの声、まるで二十歳やん? 背筋も伸びてるし。こけるんじゃないかって、ひとが心配してるのに”

それにしても、あのお年で「お疲れさん!」とはよく言ったものです。背中を曲げていたのは、もしかしてお芝居? なんとも印象に残ったおばあちゃんでした(笑)

【180】

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