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2012年3月28日 (水曜日)

将進酒(李白)

李白の「将進酒」という詩、好きな方が多いと思います。お酒はほとんど飲めない私でも、全体を貫くストーリーと、豪快な表現に感動します。以下、ちょっと長いですけど私流に読み下してみます。

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君不見黄河之水 君見ずや黄河の水

天上来     天上より来たるを

奔流到海不復囘 奔流し海に到って復(また)回(かえ)らず

君不見高堂明鏡 君見ずや高堂(こうどう)の明鏡(めいきょう)

悲白髪     白髪(はくはつ)を悲しむを

朝如青糸暮成雪 朝(あした)には青糸(せいし)の如きも暮には雪と成る

人生得意須尽歓 人生意を得(う)れば須(すべか)らく歓(かん)を尽すべし

莫使金樽空対月 金樽(きんそん)をして空しく月に対せしむる莫(なか)れ

天生我材必有用 天我が材を生(しょう)ずるや必ず用有り

千金散尽還復来 千金散じ尽すも還復(またまた)来たらん

烹羊宰牛且為楽 羊を烹(に)牛を宰(さい)して且(しばら)く楽しみを為(な)さん

会須一飲三百杯 会(かなら)ず須(すべか)らく一飲(いちいん)三百杯なるべし

岑夫子     岑夫子(しんふうし)

丹丘生     丹丘生(たんきゅうせい)

進酒君莫停   酒を進む君停(とど)むること莫(なか)れ

與君歌一曲   君の与(ため)に一曲を歌わん

請君我為傾耳聴 請(こ)う君に我が為に耳を傾けて聴け

鐘鼓饌玉不足貴 鐘鼓(しょうこ)饌玉(せんぎょく)は貴(たっと)ぶに足らず

但願長酔不用醒 但(ただ)長酔(ちょうすい)を願うて醒(さ)むるを用いず

古来聖賢皆寂寞 古来聖賢皆寂寞(こらいせいけんみなせきばく)

惟有飲者留其名 惟(ただ)飲者(いんじゃ)のみ其の名を留(とど)むる有り

陳王昔時宴平楽 陳王(ちんおう)昔時(せきじ)平楽(へいらく)に宴し

斗酒十千恣歓謔 斗酒十千(としゅじゅっせん)歓謔(かんぎゃく)を恣(ほしいまま)にす

主人何為言少銭 主人何為(なんす)れぞ銭少(すくな)しと言うや

径須沽取対君酌 径(ただ)ちに須(すべか)らく沽(か)い取りて君に対して酌(く)むべし

五花馬     五花(ごか)の馬

千金裘     千金(せんきん)の裘(かわごろも)

呼児将出換美酒 児(じ)を呼び将(も)ち出(いだ)して美酒(びしゅ)に換えしめ

與爾同銷萬古愁 爾(なんじ)と同(とも)に銷(け)さん万古(ばんこ)の愁(うれい)

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この詩、いろんなサイトで紹介されていますから、ここでの現代語訳は省略します。ただ、たいていの人が共感するのは次のフレーズではないでしょうか。

人生得意須尽歓 (人生、思いのままになるときには存分に楽しもうぜ)

莫使金樽空対月 (黄金の酒樽をむなしく月の光にさらしておくことはない)

天生我材必有用 (天が私を生まれさせたからには、必ず世のために用いられるときが来るはずだ)

千金散尽還復来 (おカネなんてのは、使いはたしてもまた戻ってくるさ)

いいですねぇ。だれもが 「こんな暮らしをしてみた~い!」 「こんなことを言ってみた~い!」 というフレーズであり、夢なんですね。それを何のてらいもなく言ってのける李白のすばらしさ、大きさ。李白の人生に憧れずにはおれません。

また、最後の「爾と同に銷さん万古の愁みんなで万年の愁いを消そうではないか)は宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」の最後、「サフイウモノニ ワタシハ ナリタイ」と同じく、万感胸に迫るオチになっています。「萬古愁(ばんこのうれい)」とはよく言ったものです。人間の普遍性というか、人生の本質を突いています。こういう詩を残してくれた李白に感謝しなければなりません。暗誦して口ずさむと、気分が晴れます。

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