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2012年4月22日 (日曜日)

「漢の武帝」(吉川幸次郎著)を読んで

前漢第五代皇帝、武帝の一代記です。武帝(B.C.156~87)のころの時代背景、業績、そして人物像が、物語風に書かれています。漢の武帝といっても、かろうじて名前を覚えているくらいで、予備知識のない私でも一気に読み終えることができたのは、著者の情熱が文章のあちらこちらにあらわれているからでした。

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吉川幸次郎先生は、中国文学の権威です。特に論語に関しては自らを儒者と言われるほどの碩学です。この本に関しては、漢の武帝のころから、中国では儒教が国教となっていったこともあり、特に興味をもたれたのではないかと思われます。武帝晩年の寵姫拳夫人が、跡取りの昭帝を生んだがゆえに殺されなければならなかったところで、

…この話は、私をして、武帝に対するはげしい嫌悪を感じさせる。武帝のおおむねの行為に対して、私は同情者である。しかしこの話だけはたまらない。…

と書かれているところなどは、吉川先生の人柄だけではなく、古典を過去のものとして研究・記述するだけでなく、教訓として現代を生きるわれわれものとしていかねばならない、という儒者としての先生の姿勢をよくあらわしています。もちろん史記や漢書を精査された結果であることは言うまでもありません。

戦後まもなくの出版(昭和24年、岩波新書)ですが、大変読みやすく、いつまでも読み継がれるべき名著だと思いました。現在は古書でしか手に入らないのが残念です。

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