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2012年4月16日 (月曜日)

長等公園~琵琶湖疏水の桜

本日(2012/4/16)所用あり、滋賀県大津市内長等(ながら)公園・琵琶湖疏水(びわこそすい)の桜を見る機会を得ました。

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満開にもかかわらず、花見客がほとんどおられませんでした。今年の花見は京都市内のにぎやかな風景ばかりだったので、平日とはいえ、人が写らない桜の写真を撮るのは、何か違和感さえ感じました。

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長等公園といえば、薩摩守忠度の歌です。山道をしばらく登っていくと桜広場があり歌碑がありました。字は読めませんでしたが紹介してみます。

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さゞ波や志賀の都は荒れにしをむかしながらの山ざくらかな

意訳:さざなみ寄せる志賀の都(大津京)の町並みは、面影もなく荒れ果ててしまったけれども、この長等(ながら)山の桜は昔ながらに美しく咲いていることだなぁ。

歌自体は「ながら山」と「昔ながら」とのダジャレですけど、平家物語巻七「忠度都落」にある有名なエピソードが思い浮かびます。私の好きな場面なので、この際若干引用してみます。

【薩摩守忠度は、何処よりか帰られたりけん。侍五騎童一人、わが身共に混甲七騎取って返し、五條の三位俊成卿の許におはして見給へば、門戸を閉ぢて開かず。「忠度」と名乗り給へば、落人還り来れりとて、その内騒ぎあへり。薩摩守急ぎ馬より飛んで下り、自ら高らかに申されけるは、「これは三位殿に申すべき事あって、忠度が参って候。たとひ門をば開けられずとも、この際まで立ち寄り給へ。申すべき事の候」と申されたりければ、俊成卿、「その人ならば苦しかるまじ。開けて入れ申せ」とて、門を開けて対面ありけり。…】(高橋貞一校注「平家物語」講談社文庫より引用)

この後に続く文章は、まさに諸行無常を感じる名文です。この文章ゆえに、歌も有名になったと言えるでしょう。

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さて、長等公園からしばらく歩けば琵琶湖疏水に出ます。こちらも満開でした。

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↑観光案内等でよく見かけるこの写真は、橋の上から撮ったものであることがわかりました。やっぱり自分の目で見ると感動もひとしおです。

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↓京阪電車の三井寺駅で振り返ってみて、はじめて長等山の全景を見ることができました。

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山の中腹までまさに桜色に染まっていて、ちょっとした驚きでした。薩摩守忠度も見たであろう山桜は、八百数十年後も『昔ながらの山桜』のようです。今回はちょっと寄り道しただけでしたが、かなり思い出に残りました。もしこの記事を読んで行かれる方があるならば、まだ二三日は見ごろかと思われます。おススメです。

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