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2012年5月 6日 (日曜日)

遊子吟(孟郊)

遊子吟(ゆうしぎん)】

慈母手中線(じぼ しゅちゅうのせん)

遊子身上衣(ゆうし しんじょうのい)

臨行密密縫(こうにのぞんで みつみつにぬう)

意恐遅遅帰(いはおそる ちちとしてかえらんことを)

誰言寸草心(たれかいう すんそうのこころ)

報得三春暉(さんしゅんのきに むくいえんと)

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(意訳)

【旅立つ息子の詩(うた)】

慈悲深い母親は旅立つ息子のために、自ら着物を縫ってくれた。縫い目細かく、もしやこの子の帰りが遅くなるのではないかと心配しながら…。

旅立つ子供の心は、わずか一寸ばかり伸びた草のようなものだ。春三か月を照らす、太陽の光のような母の愛情に、どうしてかなうことができようか。

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この詩、中唐の詩人孟郊(もうこう)が五十歳で科挙に合格し、溧陽(りつよう、江蘇省溧陽県)の役人になった際、年老いた母親を任地に迎えたときに作ったのだそうです。子の母を想う気持ち、母の子を慈しむ気持ちに満ちています。特に5連・6連、子供の心を「寸草心」、母親のそれを「三春暉」と表現しているところなんか、感動して涙が出ます。

孟郊という人は、念願の科挙に合格したものの、性格がかたくなで、人に嫌われ、結局生涯不遇でした。だからこそ、母親はより心配したでしょうし、息子も母にすがることが多かったのでしょう。若き日に故郷を出て、ようやく五十歳で母親を迎えることができた孟郊の、押し殺したような感情が、この詩からは伝わってきます。

いい詩です。

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【253】

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