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2012年5月 7日 (月曜日)

人に物只やるにさえ上手下手(柳多留)

江戸川柳(柳多留)をパラパラとめくっていたら、

人に物只やるにさへ上手下手(ひとにものただやるにさえじょうずへた)

という句を見つけて、思わず「ぷっ」と噴き出してしまいました。

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たしかに!

人に物をあげるとき、恩を着せるようなことを言ったがために、相手を怒らせてしまったり、逆に、卑屈な態度をとり過ぎて迷惑がられてしまったり、なんてことはよくある話です。この句、特に中七の、「只やるにさえ」が効いています。本来、プレゼントは善意に基づく行為のはずなのに、いかにも恩着せがましく、逆説的な表現になっています。

仏教では、お布施するときには、ものをあげる自分と、受け取る相手、そして品物の三つのものにこだわってはいけない、「三輪空寂(さんりんくうじゃく)」という教えがあるそうです。本人にそんな気持ちはないにせよ、お布施すること自体、とかく誤解を招いてしまいがちです。ただ物をあげるだけであっても、TPOを選んで、添える言葉には気をつけなさいということですね。

それにしても、この川柳は言い得て妙です。私は下手なほうだなぁと、はじめは笑って噴き出したものの、五秒後には反省して、これは笑ってられないと、真剣な表情になってしまいました。

【254】

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