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2012年6月30日 (土曜日)

海南行(細川頼之)

海南行細川頼之

人生五十愧無功(じんせいごじゅう こうなきをはず)

花木春過夏己中(かぼくはるすぎて なつすでになかばなり)

満室蒼蠅掃難去(まんしつのそうよう はらえどもさりがたし)

起尋禅榻臥清風(たってぜんとうをたずね せいふうにがせん)

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意訳:人生五十年、これといった功績もなく恥ずかしく思う。春が過ぎて夏も半ばになったいま、花も咲かない。部屋いっぱいの青バエは追い払ってもなかなか去らない。いっそのこと、この部屋を出て、座禅の床ですがすがしい風にでも吹かれて寝ころぶとするか。

※蒼蠅=讒人(讒言する者)をハエにたとえる。禅榻=坐禅をする床(腰掛け)

細川頼之(1329-1392)は室町時代初期の武将。室町幕府の管領になりますが、諸将に疎まれて職を追われ、所領の讃岐に向かう時に作ったのがこの詩なのだそうです。

私がこの詩を知ったのは、ちょうど五十歳を過ぎたときでした。とても感動しました。二句目の「花木春過ぎて夏すでに半ばなり」とは、なんと上手な比喩でしょう。人生を春夏秋冬にたとえれば、五十歳はまだ夏の半ばと言えなくもないのです。もう五十歳、いや、まだ五十歳です。現に十余年後、京都に呼び戻された細川頼之は、幕府の宿老として再び活躍しています。そんな裏話を聞くと、「もしかして、オレもこれから大活躍?」と、癒された気分になります(笑)

【308】

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