将東遊題壁(月性)
【将東遊題壁(まさにとうゆうせんとしてかべにだいす)】 月性(げっしょう)
男児立志出郷関(だんじこころざしをたててごうかんをいづ)
学若無成不復環(がくもしなるなくんばまたかえらず)
埋骨何期墳墓地(ほねをうずむるになんぞきせんふんぼのち)
人間到処有青山(じんかんいたるところせいざんあり)
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(意訳)男子たるもの、志を立てて故郷を出るからには、学問が成就するまで二度と帰らない覚悟である。骨を埋めるのに、どうして故郷の墓に固執することがあろうか。広い世間には、どこへ行っても青々とした墓地があるではないか。
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月性(1817-1858)は、幕末の尊王攘夷の僧侶です。僧でありながらもさまざまな志士と交流しています。この詩は、志を立てて故郷を出る際に詠んだのでしょうか。現代人が鑑賞しても、読む者を勇気づけてくれます。結句の「人間」は、普通『じんかん』と読んで、人の間(あいだ)のことと解釈されていますが、意味としては『にんげん』としてもいいように思います。むしろ、個人と考えたほうが旅立つ者を鼓舞してくれそうです。
※人間(にんげん)=人、人間(じんかん)=世の中・世間
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