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2012年7月26日 (木曜日)

これをしるをしるとなし、しらざるをしらずとなす。これしるなり(論語)

子曰、由誨汝知之乎、知之為知之、不知為不知、是知也(為政第二・17)

子曰く、由や、汝に知ることを誨(おし)えん乎、之れを知るを知ると為し、知らざるを知らずと為す、是れ知る也

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意訳:

孔子(先生)がおっしゃった。「由よ、お前に“知る”ということを教えてやろうか。知っていることを知っているとし、知らないことを知らないとする、それが“知る”ということだ」

「論語」のすばらしいところは二つあります。ひとつは、あらためて書くまでもなく、その言うところの内容です。人間が生きていく上で参考となる言葉が簡潔に記されています。読む者に「なるほど!」と思わせます。もうひとつは声に出して読んだときの語呂のよさ、読み下し文の美しさです。明治時代までは素読して声に出していました。昔の子供たちは、わけのわからないままに丸暗記させられていました。この章などは、覚えやすい章の典型です。

し、いわく。ゆうや、なんじにしることをおしえんか。これをしるをしるとなし、しらざるをしらずとなす。これしるなり

冒頭の「子曰く」という決まり文句の「」に続いて、この章には都合9回の「」が出てきます。そして「これ」が2回。背筋がゾクっとするくらいの調子のよさです。声に出して読み上げるだけで、人生の奥義を知ったような、ハッとして目からうろこが落ちたような気分になるのは、そのリズムのよさにも要因があるようです。

さて、由(ゆう)というのは、孔子の弟子の子路(しろ)のことです。孔子には弟子が三千人とも七千人とも言われますが、子路は「孔門十哲」に選ばれている有名な人です。

思うに、子路はうそつきとまでは言いませんが、かなり知ったかぶりをするところがあったのでしょう。孔子に「お前なぁ、知っているっていうことはなぁ・・・」という感じで、たしなめられました。ソクラテスの「自分は知らないということを知っている」も、同じ系列の格言ですね。

それにしても、よくできたフレーズだなぁ。二千年以上にわたって伝えられてきたのも、うなづけるところです。

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