むま(馬) むめ(梅)の話
前回は鰻をむなぎと言った話を書きましたが、調べているうちに、昔は、馬をむま、梅をむめと呼んでいたことがわかりました。
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●むまの例
「上方いろはかるた」に
【馬の耳に風】(むまのみみにかぜ)
というフレーズがあります。『いろはにほへとちりぬるをわかよたれそつねならむ…』のむに使われています。
「…うゐのおくやま…」のうは、「氏より育ち」となっていますから、ここの馬は『むま』と読むことがわかります。
●むめの例
蕪村句集に
(あらむつかしの仮名遣ひやな。字儀に害あらずんば、ァヽまゝよ)
【梅咲きぬどれがむめやらうめじゃやら】(うめさきぬどれがむめやらうめじゃやら)
という句がありました。なんでも本居宣長と上田秋成のあいだに、古文でむと書かれているものを「む」と読むか「ん」と読むか、梅を「むめ」と読むか「うめ」と読むかについての論争があったそうです。上田秋成と蕪村は友人だったので、このような句を作って揶揄したのかもしれません。『うめかむめか、字に害はないのだから、そんなにもめなくてもいいでしょう。あぁ、ややこしい!』という、蕪村の叫び声が聞こえてきそうです。
たしかに、ややこしいですね(笑)
【367】
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