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2012年8月 3日 (金曜日)

物まうの声に物着る暑さかな(也有)

江戸中期、尾張藩の重臣で俳人でもある横井也有(よこいやゆう)の作品、

物まうの声に物着る暑さかな(ものもうのこえにものきるあつさかな)

を、ほととんぼ風に解釈&鑑賞します。

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あー、暑い暑い、もう暑うてたまらんなぁ。寝転んでるだけでも汗が吹き出してくるわ。今年は節電せなあかんからエアコンはつけられへんし、裸になって扇風機回して、団扇両手に持って扇いでも、全然涼しぃならへん。かえってナマ暖かい風がきて、余計に暑くなるだけや

ピンポーン、ピンポーン…

おい、だれか来たで。えっ? 何やて? ちょっと手が離せへんから、あんた出ててか。しゃぁないな、このクソ暑いのにいったい何の用事や。せやけど、パンツ一丁ではドア開けられへんし、何か着ていかなあかんな…。そこらへんに羽織るもんがありますやろて、え? どれや…。邪魔くさいな。腹立つわ。だいたいこの暑さがあかんねん!

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というわけで、この句をローマ字で書くと

monomouno koeni monokiru atsusakana

となり、「もの」「う」「」「え」「もの」まで、O(オ)音が連続し、いかにも物憂い雰囲気を醸し出しています。あまりの暑さにぐったりと横になっているところへ、突然の訪問者です。面倒くさい、邪魔くさいという作者の心が語呂の上でもうまく表現されています。

也有の作品には、この句のように苦笑を誘うような穿ちが多いです。通俗と言ってしまえばそれまでですが、現代でも通用するのはその通俗性にあると思います。

※「物まう」は漢字にすれば、「物申」です。訪問者が玄関先で「ごめん」と言って案内を乞うている様子です。

【342】

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