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2012年8月27日 (月曜日)

むなぎ(鰻)の話。

それは、ある人と会食した時のことでした。

 『昔はね。うなぎ(鰻)のことをむなぎって言ったんだよ』

 『へぇー、そうなんだ。たとえばどんな例があるの?』

 『えっ? それは、調べてみないと…』

 『な~んだ。よく知ってるなと思ったら、だれかの受け売りなんだな』

 『バレたか…(笑)』

しまった! いらぬウンチクを語ったわい、と思いつつ調べてみたところ、万葉集に、大伴家持の歌を二首見つけました。

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(痩せたる人を嗤笑へる歌二首)

3853【石麿にわれ物申す夏痩せに良しといふ物そ鰻取り食せ(いわまろにわれものもうすなつやせによしというものそむなぎとりめせ)

3854【痩す痩すも生けらばあらむをはたやはた鰻を取ると川に流るな(やすやすもいけらばあらんをはたやはたむなぎをとるとかわにながるな)

意訳:(やせた人を笑う歌二首)

(3853)石麿に私は言いたいことがある。夏やせにいいということだよ。ウナギをとって食べなさい。

(3854)やせているやせていると言っても、とりあえず生きているのだから、ウナギをとる時に川に流されないようにしなさいよ。

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で、なんでこの歌の鰻は「むなぎ」と読むことがわかるのかというと、原文の万葉仮名では武奈伎と書いているからです。当時『』という字は「」音に使われていたことが知られています。この歌には但し書きがあり、歌の背景は、

吉田の連(むらじ)老(おゆ)というものがいた。仁敬の人であったが、とてもやせていた。たくさん飲み食いするのだが、ガリガリなのだ。そこで、大伴家持が遊び心からこの歌を作って、戯れに笑ったのである

とあります。大伴家持たちが生きていたのは約1250年前です。当時からうなぎは夏バテ対策として知られていました。現在、土用の丑の日にうなぎを食べる習慣があるのは、江戸時代に平賀源内が考案した説、太田蜀山人が考案した説など種々あるようですが、少なくとも万葉時代からうなぎの効用が認められていたことには驚きます。

では、なぜむなぎうなぎに変わったのでしょうか?

どうやら、『むなぎ』→『んなぎ』→『うんなぎ』→『うなぎ』という変化をたどったようです。(ただし、全然あてにならないことを書き添えておきます)

それにしても、「よしだのむらじ、おゆ」さんはどれくらいやせていたんでしょうね。食べても食べても太らないなんて、私のように減量を余儀なくされているものにとっては、とてもうらやましいです。うなぎ食べて効果あったのかなぁ(笑)

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さて、久しぶりに我が家の夕食は鰻のかば焼きでした。

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