「夏雲は岩の如く」(子規)
正岡子規が「春雲は綿の如く、夏雲は岩の如く、秋雲は砂の如く、冬雲は鉛の如し。」と言ったというので、本当にそうかと思い、夏の雲の写真を撮ろうとしましたが、あまりに天気がよすぎて、雲が見当たりません…。
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↑こんな感じ(笑)
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さて、表題の正岡子規の詩(言葉?)を鑑賞してみます。
【春雲は綿の如く、夏雲は岩の如く、秋雲は砂の如く、冬雲は鉛の如し。】
(はるくもはわたのごとく、なつくもはいわのごとく、あきくもはすなのごとく、ふゆくもはなまりのごとし)
一読して、「なるほど!」と思わせます。単純な言葉の中に子規の写生の心が投影されているようで、すばらしいです。さらに続きます。
【晨雲は流るゝが如く、午雲は湧くが如く、暮雲は焼くが如し。】
(あさくもはながるるがごとく、ひるくもはわくがごとく、くれくもはやくがごとし)
いいですねぇ、この表現力! まさに子規の言うとおり。実感です。
と、ここで気になるのはそれぞれの『○雲』は音読みか?訓読みか? です。春雲・夏雲・秋雲・冬雲は訓読みでいいと思いますが、後半の晨雲・午雲・暮雲は「しんうん」「ごうん」「ぼうん」と音読みしたほうがいいような気もします。ただ、そうすると全体として読みがちぐはぐになってしまいます。熟語で、音・訓と読むのが重箱読み、訓・音と読むのが湯桶読みならば、この詩は湯桶(読み)詩とでもいえばいいのでしょうか?
そんなことを考えながら、空を見上げて、しばらくボーっとしていると、少し雲が湧いてきました。
残念ながら、岩のような入道雲ではなかったですが、それでも青空に映えたきれいな夏の雲でした。
【359】
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