うたゝ寝のさむれば春の日くれたり(蕪村)
蕪村句集にある
【うたゝ寝のさむれば春の日くれたり】
で、蕪村の句の作り方に感心しました。鑑賞してみます。
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意訳:
『うたたねしてふと目が醒めたら、春の一日が暮れていた』
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この句のすばらしいところは言葉の使い方にあります。
中七下五の十二文字が【四・四、四】に切れています。声に出して読めば
【うたゝ寝の。さむれば。春の日。暮れたり。】
と、四分された破調になっています。
この切れの悪さが、ねぼけた・けだるい・退屈 な様子を表現しており、全体として、日本人の持つ春の夕暮れのイメージに重なっていくのです。
意味だけをとればなんでもない句のようでも、そこまで計算して詠んでいる蕪村はすごいなぁ、と思います。
【352】
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