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2012年8月30日 (木曜日)

さいよひるいぬ(論語)

宰予昼寝、子曰、朽木不可雕也、糞土之牆不可杇也、於予與何誅、子曰、始吾於人也、聴其言而信其行、今吾於人也、聴其言而観其行、於予與改是(公冶長第五・10)

宰予昼寝(い)ぬ、子曰く、朽木(くちき)は雕(ほ)るべからず、糞土(ふんど)の牆(しょう)は杇(ぬ)るべからず、予に於いてか何ぞ誅(せ)めん、子曰く、始め吾人に於けるや、其の言を聴きて其の行(こう)を信ず、今吾人に於けるや、其の言を聴きて其の行を観(み)る、予に於いてか是を改む

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(意訳)

宰予が昼寝した。孔子(先生)がおっしゃった。「くさった木には彫刻できない、糞土では垣根に上塗りできない。宰予には何を言っても仕方がない」 さらにおっしゃった。「これまで私は、人の言葉を聞いて行いを信用した。これからは人の言葉を聞いて、その行いを観察することにしよう。宰予の件で改めたのだ」

※宰予(さいよ)=宰我、孔門十哲のひとり、言語に優れる。

論語公冶長篇の有名な章です。宰予が昼寝していたので、孔子にこっぴどく叱られました。いつも偉そうなことを言うが、行動が伴わないということでしょう。弁舌に優れ、言葉をたくみにもてあそぶ人にとってはありがちなことです。

それはそれとして、ここでは「ひるいぬ(昼寝)」に注目してみます。昼寝といっても、宰予はいったい何をしていて、孔子の怒りを買ったのでしょうか。

(1)ただ、間(孔子の話を聞かず)て(居眠って)いただけ。

(2)室で(え)を描いていた(昼の旧字「晝」と、画の旧字「畫」が似ている。記録ミス?)

(3)室に身分不相応な高価なを掲げていた(同上)

(4)女性と間からていた。

など、さまざまな説があることは承知していましたが、最近読んだ「おとこ・おんなの民俗誌」(池田弥三郎著、講談社文庫)に、興味深い文章を見つけました。というのは、『ねる』という漢字には(寢)とがありますが、どうやら若干意味が違うらしいのです。

寝→寝室をしつらえてねること

寐→目をつぶってねいること

言うまでもなく、この章ではが使われています。ということは、孔子の話を聞いているときに、ただ居眠りをしていたのではなく、少なくとも宰予は寝室にいたことになります。孔子の怒り方も尋常ではないですから、ここは(4)女性と昼間から寝ていた、というのが真相のようです。

幕末の思想家佐久間象山が江戸に出てきて儒学の先生についたとき、論語のこの章の解釈を、居眠りをして叱られたと説明され、「そんなバカなことを言う学者では話にならん。これは昼間からに入っていたから叱られたのだ」と言って、すぐにその先生のもとを去ったそうです。(ねや)といえば、明らかに女性のいる部屋のことです。

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