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2012年9月25日 (火曜日)

渡辺綱の灯籠の話(北野天満宮)

九月二十五日、天神さん。今月も好天に恵まれました。お彼岸を過ぎてから京都の街も涼しくなり、猛暑の七、八月に比べて参拝の方も増えたようです。

3952_3(中門)

今回は、中門を入ってすぐ右にある、渡辺綱が寄進したという石灯籠に注目してみました。

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3955(渡辺綱の石灯籠)

この石灯籠、北野天満宮にやってきたほとんどすべての方の目に入っているはずなのですが、立て札を読み、興味を持つ人は少ないです。たいていは本殿の参拝と、境内のあちこちにあるなで牛をさわっておまいりを終えられます。実に影の薄い灯籠です。私も長い間気がつきませんでした。

まずは、手前に見える、立て札の説明書きを引用してみます。

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重要美術品 渡邊綱(わたなべのつな)の燈籠

渡邊綱は平安時代中期の武将源頼光(みなもとのよりみつ)の四天王の一人。大江山の酒吞童子、一条戻り橋での鬼との戦いはつとに有名。

本燈籠の由来はこの一条戻り橋の鬼退治の話に遡る。

「渡邊綱が所用で夜半一条戻り橋にさしかかると、若く美しい女性に深夜のこととて家までおくってほしいと頼まれる。しばらく行くとその女性は恐ろしい鬼の姿となり綱を捕らえて舞い上がり、愛宕山へ連れ去ろう北野天満宮上空にさしかかる。その時、綱は太刀を抜き放ち、綱を掴んでいた鬼の片腕を切り落とし難を逃れる。」

後日、綱はこれも北野天満宮の大神のおかげと神恩を感謝し、この石燈籠を寄進したという。

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なんと! これは怖い話です。渡辺綱という武将が一条戻り橋で美人に化けた鬼にさらわれたというのです! これは真偽のほどを確認しなければなりません。 物好きな私は、早速一条戻り橋へ足を運んでみました。

3958(一条戻り橋)

下を流れるのが堀川です。今は整備されて遊歩道になっています。一条戻り橋といえば、父親で文章博士の三善清行(みよしのきよつら)が亡くなったと聞いた息子浄蔵が熊野から戻ってきたとき、この橋の上で葬送の列に出会い、死んだ清行が生き返ったことでその名がつけられています。以来、いろんな伝説がつきまとう橋です。

39510(晴明神社)

すぐ近くに、晴明神社があります。

39511(晴明神社境内にて)

晴明神社には戻り橋のミニチュア版がありました。横に安倍晴明が操ったという式神(しきがみ)が座ってました。

で、調べたところ、渡辺綱が鬼に出会ったのは戻り橋の東詰とのことです。

3959(戻り橋東詰)

現在の戻り橋東詰です。おもしろいことに、渡った車が戻れないよう西行き一方通行になってました。これも戻り橋伝説のひとつに付け加えようというのでしょうか。

いずれにしても、渡辺綱はここで鬼に出会ったのです! それだけを確認して、戻り橋を戻り、走って再び北野天満宮を訪ねました。というのは、北野天満宮の宝物殿に渡辺綱が鬼の腕を切り落としたという太刀、その名も「鬼切」が展示されていることがわかったからです。

ぜひとも、見ておかなくては!

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3953_2(北野天満宮宝物殿)

私は毎月のように北野天満宮におまいりしていますが、宝物殿を見学するのは初めてでした。国宝「北野天神縁起絵巻」のほか、数多くの重要文化財が収められていて、毎月二十五日の天神さんの日などに公開されていることを、今回初めて知りました。訪ねてみると、館内(殿内)は閑散としていて、渡辺綱の石灯籠と同様、宝物殿の存在を知っている方は少ないようです。

で、渡辺綱が天満宮の上空で鬼の腕を切ったという太刀、「鬼切(重要文化財)」は…と。

ありました! 

う~ん、この刀で鬼の腕を切り落としたのか! 反り加減といい、輝きといい、確かに名刀と呼ばれるだけのことはある

残念ながら、写真撮影禁止でした(トホホ) 幸い入口でいただいたパンフレットに写真が載っていました。

225_2(宝物殿パンフレット)

中央が鬼切です。さらに、館内(殿内)には歴史好きなら興味を引くような展示物が多くありました。料金は一般¥300です。

3951(渡辺綱の石灯籠)

最後にもう一度石灯籠に戻ってきました。でも・・・

渡辺綱は、なぜ襲われたのでしょうか?

どうしてこんな中途半端な場所に灯籠を置いたのでしょうか?

渡辺綱は、上空で鬼の腕を切り落として、まさにこの場所に落ちてきたのでしょうか?

いったい、何メートル上空を飛んでいたのでしょうか? 

落ちたときケガはなかったのでしょうか? 

この話、実話とするには単純な疑問が残り、聞く者は「ホンマかいな」と、ちょっと斜めに構えてしまいます。とりあえず、上空を飛ぶ渡辺綱の雰囲気を出そうと、下からはすかいに写真を撮った次第です。(綱の話だけに、綱渡り、なんちゃって。)

【395】

 

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