宵月夜狐は化る支度哉(子規)
ある日の夕方、伏見稲荷大社の前を通りかかったときのことです。
ふと見上げると、南の空にきれいな半月が見えました。今回は正岡子規の句を鑑賞します。
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【宵月夜狐は化る支度哉】(よいづきよきつねはばけるしたくかな)
宵月(夜)は、新月~七日ころまでの月夜のことで、夕月(夜)ともいい、夕方に出たかと思うと早い時間に沈んでしまいます。そして狐といえばお稲荷さんです。古来よりいろいろなものに化けると言われています。一句は、「きれいな宵月夜だ。そろそろ狐が化ける支度をしていることだろう…」というのです。狐は女性に化けることが多いそうです。考えてみれば、夜遊びに出かける前に念入りに化粧をする若い女性などは、化ける支度をしているのかもしれませんね(笑)
鳥居越しの宵月。スマホのカメラでもアップにしたら、なんとか半月であることがわかります。正岡子規も、お稲荷さんをイメージして詠んだのでしょうか。
青い空と朱色の鳥居、そして白い半月。うす暗くなりつつも色鮮やかな秋の夕暮れでした。実際は大きく見えたお月さまが、写真では点にしか見えないのが残念です。
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