第90回 秋の京大寄席
「第90回 秋の京大寄席」が興行され、楽しんできました。
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昨年(2011年)、この「秋の京大寄席」を見て感激し、以来ファンになりました。
受付で木戸銭の100円(二日間通し)を支払って席に着くと、すでに会場内はほぼ満席状態です。毎回お客さんの数が増えてきているのも、誇張ではなく実感です。われわれ同様年配のお客さんの多いことが、そのレベルの高さを物語っています。以下、簡単に感想を書いてみます。
パンフレット(初日)
初日(10/13):初日ということで、みなさん緊張しておられたのでしょうか。演者によって口調が早口なのが気になります。あれだけの長い噺をよく覚えたものだと感心するだけに、残念です。一度でも聞いたことのある噺であれば、「あ、あのネタか!」と、それなりに理解できるのですが、初めて聞く噺となると、正直、何を言っているのかわからなくなり、興ざめてしまいます。一回生など、新人の方にその傾向が強いように思います。きっと、こういう場を通じて上達していかれるのでしょう。
そんな中、楠木亭川人さんと、葵家手羽王さんは、見事な出来でした。特に手羽王さんの「浜野矩随」は、初めて聞く噺ながらお涙頂戴で、手羽王さんの淡々とした語り口に引き込まれました。観客の中には、目頭を押さえている方もおられたくらいです。いい噺でした。感激です。それと、基本的に古典落語が中心の京大落語ですが、桂三枝の創作落語「作文」を演じられた楠木亭ぺぷ志さんの試みもすばらしかったと思います。
また、落語の合間に漫才があるのですが、こちらのほうはイマドキの漫才で、それはそれでおもしろいものがあります。
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(会場玄関の看板)
楽日(10/14):昨日とは打って変わって、みなさん落ち着いた様子です。演者のレベルは高く、さすが京大落語研究会! と思わせる、ナットクの楽日でした。特に楠木亭北風さんの「紙入れ」と楠木亭遊人さんの「住吉駕籠」は、いずれが甲乙つけがたい見事なもので、プロの領域と言っても過言ではありません。今春卒業された道楽亭海人さんは学生落語日本一の称号をお持ちでしたが、それに勝るとも劣らない演技力、話術でした。最後の大喜利では、客席との一体感のようなものまで感じさせます。
(楽日)
二日間、延べ8時間近くの落語会を、観客を飽きさせることなく演じきるのは、ホント、たいしたもんです。
今回は、ひとりひとりの演者についてポイントをつけるというアンケートがありました。木戸銭を取るのだから、優劣をつけるのも仕方ないと思います。ただ、人の意見を参考にするのはいいのですが、あんまりお客さんの評価ばかりを気にするのも考えものです。ノーベル賞の山中教授の話題が随所に出ていましたが、落語研究会のみなさんには、京都大学というすばらしい環境で、落語を通じて創造力を養ってほしいと思います。
それにしても「第90回秋の京大寄席」、よかったです。これからも京大落語は聞き逃せませんね。
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