御土居の紅葉2012(北野天満宮)
ひさびさ、北野天満宮に行きました。今回の目的は、もちろん「紅葉」です。
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(本殿)
まずはおまいりを済ませます。
(本殿横)
本殿横に、大きな看板を見つけました。見ごろとのこと。これは楽しみです。
(御土居受付)
史跡御土居の紅葉(もみじ苑)の入口は、参道受付と御土居受付の2か所あります。本殿のおまいりを済ませた後、御土居入口から入ったほうが無駄がなくて便利です。
入苑してすぐ、御土居に上るとすばらしい紅葉が眼に飛び込んできました。
ほう。これは見事! 紙屋川に降ります。
(紙屋川)
紙屋川をはさんだ両岸にもみじ苑は広がっています。その昔、この川で紙を漉いたから「紙屋川」です。古今集、紀貫之の物名歌(一首の中にモノの名や地名を読み込んだ歌)に、
【うばたまの我が黒髪や変わるらむ鏡の影に降れる白雪】
があります。「わがくろかみやかわるらむ」に名前が隠されています。紙漉き技術の伝来は、推古天皇(在位593~628)のころに遡ります。紀貫之のころは、朝廷で用いる紙をこの川で漉いていたともいわれます。
せっかくなので、近くに手繰り寄せて記念撮影。
御土居とは、豊臣秀吉の都市政策で京の町のまわりに築いた土手(土堤)を言います。防衛・水防の意味があったと言われています。現在は数か所がその名残をとどめているに過ぎません。特に北野天満宮の史跡は、御土居の跡であることがはっきりわかる地形になっています。
最後に、茶菓の接待を受けました。これが楽しみで毎年御土居の紅葉に訪れる人も多いようです(われわれがそうです)
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最後に、楼門に掲げてある菅公の歌を鑑賞します。
【このたびは幣もとりあへず手向山紅葉の錦神のまにまに】
(このたびはぬさもとりあえずたむけやまもみじのにしきかみのまにまに)
意訳:このたびは、御幣の用意もせずにやってきました。どうぞこの手向山のすばらしい紅葉を、神の思いのままにお受け取りください。
幣(ぬさ)=神にささげる祭祀の道具。御幣(ごへい)
手向山=旅の安全を願って、幣を手向ける山。地名とも。
この歌、百人一首にとられているので、好きな方も多いと思います。「この旅」と「この度」、「取り敢えず(持って来ることができなかった)」と「とりあえず(応急処置として)」、「手向山(地名)」と「手向ける(お供えする)」と、幾重にも掛け言葉を連ねています。鑑賞する者に連想の楽しみを与えます。
そこへもってきて、ほとんど「a(ア)」「i (イ)」「o(オ)」の3音で詠まれているため、流れるような語呂のよさです。
konotabiwa nusamotoriaezu tamukeyama momijinonisiki kaminomanimani
特に結句、「神のまにまに」という言い回しが利いています。大変覚えやすい構造になっています。
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菅公の歌を鑑賞しながら、もみじ苑を散歩し、おいしいお茶とお茶菓子をいただくことができました。京都に住んでてよかったなと思う、幸せなひとときでした(笑)
【461】
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