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2012年11月24日 (土曜日)

竹里館(王維)

王維の五言絶句「竹里館」を鑑賞します。

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独坐幽篁裏(ひとりざすゆうこうのうち)

弾琴復長嘯(だんきんまたちょうしょう)

深林人不知(しんりんひとしらず)

明月来相照(めいげつきたってあいてらす)

(意訳)

うっそうとした竹やぶの中にひとりすわり、琴を弾き、長く声を引いて詩をうたう。深い林なのでだれも知らない。明月だけが私を照らしてくれている。

静かないい詩です。訓読すると押韻のよさがわからなくなります。ただ、「幽篁」と「長嘯」、「弾琴」と「深林」が、韻を踏んでるかのように読む者の心に迫ります。そのためにも、二句目は「琴を弾じ」と読むのではなく「弾琴(だんきん)」と読みたいです。

この詩でいつも気になるのは、竹やぶの中に座っていてやぶ蚊が飛んでこないのかな、ということです。季節はたぶん春から秋のいずれかでしょう。蚊に刺される季節です。王維の当時はエアコンもなかったから、竹里館の窓は開け放たれていたでしょう。もしかして網戸があった? それとも蚊帳の中? まさか蚊取り線香を焚いていたとも思えないし…、耳元に「ぶ~ん」と羽音が聞こえてきて、手で払いのけている王維の姿を想像してしまいます。

とまぁ、そんなことまで考えるのも勝手な鑑賞のひとつですね(笑)

4551

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独り坐す幽篁の裏

弾琴また長嘯

深林人知らず

明月来たって相照らす

【455】

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