とある日の銀杏紅葉の遠眺め(久保田万太郎)
いつも見慣れている街路樹の銀杏が色づく季節になりました。いい句はないかと探してみると、角川書店の「合本俳句歳時記」に、久保田万太郎の句をみつけました。
【とある日の銀杏紅葉の遠眺め】(とあるひのいちょうもみじのとおながめ)
何か考え事をしながら散歩でもしていたのでしょう。ふと、遠くの銀杏が黄色く色づいているのに気づき、いささかの感動をもって立ち止まり、眺めている風景です。語呂のよいわかりやすい句です。いきなり、「とある日の」と読者の意表を突き、続けて「銀杏紅葉の」で、「の」が2回、さらに「とある日」「とお眺め」で、「と」が2回使われていて、調子をよくしています。
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遠くから眺めているだけではもったいないです。近くに寄ってみます。
きれいな落ち葉を2枚拾いました。
子供のころ、突然友達から、
「お前、イチョウノハ持ってるか?」
と聞かれたことを思い出します。
「ううん、持ってへん」
と答えると、
「え? 持ってへんの? へぇ~」
と言いながら、
「胃、腸、脳、歯、持ってるやろ!」
お腹と頭と口元を指差され、笑われました。なにそれって感じです。こんなオチ話、いまの子供も知ってるのかな? 今度、孫に言って試してみようと思います。
【440】
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