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2012年12月 7日 (金曜日)

知る者は言わず、言う者は知らず。(老子)

老子五十六章を解釈し、鑑賞してみます。

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知者不言、言者不知。

知る者は言わず、言う者は知らず。

塞其兌、閉其門、挫其鋭、解其紛、和其光、同其塵、是謂玄同。

その穴を塞いで、その門を閉ざし、その鋭を挫いて、その紛を解き、その光を和らげて、その塵に同ず。是れを玄同という。

故不可得而親、不可得而疎、不可得而利、不可得而害、不可得而貴、不可得而賤。

故に得て親しむべからず、得て疎んずべからず、得て利するべからず、得て害すべからず、得て貴ぶべからず、得て賤しむべからず。

故為天下貴。

故に天下の貴きものと為る。

意訳:本当にわかっている者はしゃべらない。よくしゃべる者はわかっていない。(本当にわかっている者は)耳目を塞いで、外界との交渉を閉ざし、自身の鋭さを挫いて、もめごとを解きほぐし、光る自分の知恵をやわらげて、世の中の塵に同化する。これを「玄同」という。だから、まわりから親しまれることもなければ、疎まれることもなく、利用されることもなければ、妨害されることもなく、貴ばれることもなければ、賤しく扱われることもない。だからこそ、天下で最も貴い者になる。

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 大変含蓄のある言葉です。はじめの「知る者は言わず。言う者は知らず」だけで、なるほどいいことを言うものだ、と直感します。

能ある鷹は爪を隠す。

雄弁は銀、沈黙は金。

 ある意味、世渡りのコツかもしれません。

【468】

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