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2012年12月24日 (月曜日)

西吹けば東にたまる落葉かな(蕪村)&東西南北より吹雪かな(漱石)

蕪村

西吹けば東にたまる落葉かな

と、夏目漱石

東西南北より吹雪かな

を鑑賞します。

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蕪村の句、『にしふけばひがしにたまるおちばかな』は、ただ字面だけ追えば、なんのことはない、当たり前の句です。東風が吹けば西にたまり、北風が吹けば南にたまります。寒風のはずなのに、実に緊張感のない、けだるい句です。もしかして、何らかの寓意が隠されているのか、とも思わせます。たとえば、「世の中の流れに逆らうのはよくない。なにごとも成り行き任せがいい」とか、「年をとる(落葉する)と精彩がなくなって吹きだまりのような生活になる」とか、「極楽往生(西方浄土)を願う衆生が東の国(日本)に落ち葉のようにたまっている」とか。

また漱石の句は、『とうざいなんぼくよりふぶきかな』と読むと字足らずです。『ひがしにしみなみきたよりふぶきかな』と読むと五七五にぴったりおさまります。ところがそう読むと、四方からの猛吹雪を受けている情景にもかかわらず、奇を衒って「東西南北」の四文字を詠み込んだだけの言葉遊びにすぎない印象です。吹雪らしからぬ、悲愴感のない句です。

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両句とも、寒風・吹雪の緊迫感がないのはどうしてでしょうか? それは漢語と和語の違いにあるようです。いわゆる音読みと訓読みの違いです。漢字を音読みすると、直接的で固い印象を受け、訓読みすると間接的でやわらかい印象になるのは周知のとおりです。

両句ともなにげなく詠んでいるようでいて、あえて訓読みで統一しているのは明らかです。蕪村も漱石も、何か思うところがあったに違いありません。

【485】

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