有不虞之誉、有求全之毀。(孟子)
孟子離婁章句(りろうしょうく)上に
孟子曰、有不虞之誉、有求全之毀。
(もうしいわく、はからざるのほまれあり、まったきをもとむるのそしりあり)
という言葉があります。
意訳:孟子が言われた。「思いもよらぬことでほめられることがある。(かと思うと)万全を期したつもりなのに非難を受けることがある」
ーーーーー
たしかにこういうことってありますね。
多少手を抜いたにもかかわらず、「よくやったなぁ」と絶賛されたり、自分では完璧だと思っているのに、「全然できてないぞ」と言われたりするのは、よくある話です。このことから、予想もしない名誉を得ることを「不虞之誉(ふぐのほまれ)」といい、万全を期したにもかかわらず非難されることを「求全之毀(きゅうぜんのそしり)」といいます。また、同じ完成度の仕事であっても、上司によってほめてくれる方もあれば、けなす方もある。これがいわゆる「毀誉褒貶(きよほうへん)」です。
ゆえに、孟子のこの章は、通常「世間の人の評価というのは、あてにならないものだ」というふうに解釈されています。
では、どうすればいいのでしょうか。孟子には、別の章(公孫丑章句上)にこうあります。
自反而縮、雖千万人吾往矣。
(みずからかえりみてなおくんば、せんまんにんといえどもわれゆかん)
意訳:自分でよく考えて正しいと思うならば、たとえ千人、万人が相手であろうとも、私は行く。
人の忠告や指摘、評価を全然意識しないのは、危険極まりない気もしますが、何事も自信を持って行動するというのは重要なことですね。
【470】
« 大帝について。 | トップページ | 初雪の底を叩けば竹の月(蕪村) »
「 古典より」カテゴリの記事
- 五条の天神(京童より)(2014.04.12)
- 歌も詩も細字にかゝん花の友(京童より)(2014.03.26)
- 鏡石(都名所図会より)(2014.03.28)
- なさけなく折る人つらしわが宿のあるじ忘れぬ梅の立ち枝を(天神御歌)(2014.03.06)
- 比叡山に登るとき、弁当に「魚」を入れるのは禁物?(2014.02.24)
コメント