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2012年12月16日 (日曜日)

竹馬やいろはにほへとちりぢりに(久保田万太郎)

久保田万太郎の句

竹馬やいろはにほへとちりぢりに】(たけうまやいろはにほへとちりぢりに)

を鑑賞します。

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(解釈その1、「叙景句」として鑑賞)

七八人の子供たちが、竹馬遊びをしているのを作者は眺めている。「いろはにほへと」というのは、ひぃ、ふぅ、みぃ…と同じで、人数を数えるさまを表現したもの。夕方になったので、ちりぢりに分かれて家に帰っていった。

(解釈その2、「叙情(抒情)」として鑑賞)

「竹馬」とは竹馬の友のこと。幼友達が長じていくにつれて別れ別れになり、今はどこにいるのやら…という感懐を込めて表現した。「いろはにほへと」には、子供の手習いを想起させるとともに、文字通り「色は匂えど」で、昔はよかった、あのころは楽しかった、という寓意を込めている。それぞれの道を、皆ちりぢりに歩んでいる。

解説本には、だいたいこのような解釈が書かれています。ただ、この句の眼目はどう考えても、言葉遊びにあります。

(解釈その3、「言葉遊び」として鑑賞)

何らかの発想のきっかけはあったにせよ、作者の主張は、「いろは歌」冒頭部分をもじって一句にしたところにある。「いろはにほへと ちりぬるをわか…」を、「いろはにほへと ちりぢりに」とシャレた、すばらしい機知・ユーモアを楽しむべき。理屈不要。

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久保田万太郎(1889-1963)は、大正から昭和にかけて活躍した俳人、小説家、劇作家。多才な人として知られています。特に俳句には魅かれるものが多いです。生粋の江戸っ子とのことなので、時代背景を考えると「竹馬や」の季語がぴったりはまっています。

私はこの句だけで、久保田万太郎のファンになりました。そして、すぐに浮かんだのが次の換骨奪胎句です。

竹馬やちりぬるをわかよたよたと】(ほととんぼ)

ハハハ…ただの駄作でした。

【477】

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