くんしはのうなきことをうれう(論語)
「子曰、君子病無能焉、不病人之不己知也」(衛霊公第十五・19)
(子曰く、君子は能なきことを病(うれ)う。人の己(おのれ)を知らざるを病えず)
(意訳)孔子(先生)がおっしゃった。「君子は自分に才能がないことを気にする。人が自分をわかってくれないことなど気にしない」
とかく人間というものは、つい他人の視線や評価を気にして、自分というものを見失いがちです。この章で孔子は、そんな人間の弱さを単純明快な言い方で励ましてくれています。同じような言葉として里仁編14章でこうも言っています。
「子曰、不患無位、患所以立、不患莫己知、求為可知也」
(子曰く、位なきことを患(うれ)えず、立つ所以を患う。己を知ることなきを患えず、知らるべきを為すを求む)」
(意訳)「自分に地位のないことを気にせず、どうして地位がないのか(=どうすれば地位が得られるか)を考える。他人がわかってくれないことを気にせず、どうしてわかってもらえないのかを考える(=人に認められることをしようと努力する)」
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京都の史跡をまわっているとき、伏見の寺田屋で坂本龍馬の詠んだ歌をみつけました。
「世の人はわれを何とも云はば言えわがなすことは我のみぞ知る」
龍馬はこの歌を二十歳前に詠んだといいます。孔子といい、坂本龍馬といい、やはり歴史に名前の残る人物はスケールが違いますね。感心します。
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