« 寂しさにたへたる人のまたもあれないほりならべむ冬の山里(西行) | トップページ | 「謎の七支刀」(宮崎市定著)を読んで »

2013年1月28日 (月曜日)

山茶花を椿ときくも草枕(成田蒼虬)

天保期の俳人成田蒼虬(なりたそうきゅう)の句、

山茶花を椿ときくも草枕】(さざんかをつばきときくもくさまくら)

を鑑賞します。

5191(山茶花)

ーーーーーーーーーー
(意訳)

冬の旅にでかけた蒼虬宗匠は、とある町を散策していた。真っ赤な花を咲かせる垣根の横にさしかかる。通りすがりの人の声が聞こえる。

きれいな椿が咲いている。寒椿だな

宗匠が見れば、花びらがバラバラに散っている。あれ? 椿ならば首から落ちるはずだ。

(違うよ。これは椿ではなく山茶花だ。この人わかってないな。まぁ、せっかく風情を感じておられるのに、口出しすることもなかろう。これも旅の思い出、黙ってることにするか…)

とはいえ、どこか気になって仕方がない。しばらくして、ふと同行の衆につぶやいた。

『さざんかを つばきときくも くさまくら』 ハハハ、いかがかな

というような場面を想像します(笑)

ーーーーー

成田蒼虬といえば、桜井梅室とともに天保期の月並調を代表する俳人といわれます。この句にしても、「椿ときくも」の「」と、「草枕」という枕詞との取り合わせが、いかにも月並臭を漂わせています。でも、それはそれで、人情味があっていいのではないでしょうか。

さて、上の写真、近所の山茶花を撮ったものです。結構たくさんの花が咲いていました。全部で九輪写っています。

5192_2(笑)

【520】

« 寂しさにたへたる人のまたもあれないほりならべむ冬の山里(西行) | トップページ | 「謎の七支刀」(宮崎市定著)を読んで »

勝手に鑑賞「古今の詩歌」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 山茶花を椿ときくも草枕(成田蒼虬):

« 寂しさにたへたる人のまたもあれないほりならべむ冬の山里(西行) | トップページ | 「謎の七支刀」(宮崎市定著)を読んで »