月夜見梅花(菅原道真)
菅原道真の漢詩、【月夜見梅花】(げつやにばいかをみる)を鑑賞します。
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月耀如晴雪(げつようせいせつのごとく)
梅花似照星(ばいかしょうせいににたり)
可憐金鏡転(あわれむべしきんきょうてんじて)
庭上玉房馨(ていじょうにぎょくぼうのかおれるを)
(意訳)かがやく月は、晴れた日の雪のようだ。花咲く梅は照らされる星に似ている。愛おしいなぁ、金の鏡のような月光が転じて、庭の玉のような花房を香らせているのは。
この詩は菅原道真が十一歳で初めて詠んだものです。道真少年は五歳にして、【美しや紅の色なる梅の花あこが顔にもつけたくぞある】の歌を詠んだと言われています。子供のころから、よほど梅の花が好きだったとみえます。菅家文草巻頭のこの詩の前の自注に、「教育に厳しかった父親(菅原是善(すがわらのこれよし))が当時文章生だった島田忠臣(しまだのただおみ)を先生につけて、自分は初めて詩を作った」とあります。家系というものは恐ろしいものです。学問の神様は出自が違います。まわりに教育熱心な大人たちがいたからこそ、道真の才能は花開いたのです。
それにしても、おどろくべき才能です。これだけ賢いと、とんとん拍子に出世するのもわかります。まわりの人間からの風当たりも強かったことでしょう。讒言にあって左遷の憂き目にあうのも、ある意味運命だったかもしれません。
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