「ソフィーの世界」(ヨースタイン・ゴルデル著)を読んで
1995年6月30日第1刷発行とあります。推理小説と西洋哲学史の入門書を兼ねたような長編のお話です。私が読んだのはめっちゃ分厚い本でした。当ブログのカテゴリーは「ごろ寝の読書感想」です。その名のとおり就寝前や休日にゴロンと横になって読み進めるのですが、本を開き続けるのにどれほど手元が疲れたことでしょう。
ソフィー、ヒルデ、ヨールン、アルベルト・クナックス、アルベルト・クナーグ・・・登場人物の名前です。どうやら歴史上の哲学者の名前にちなむものばかりだそうです。「あ、そうか。ソフィーはフィロソフィー(哲学)のソフィーのことか」と、読み始めてしばらくして私も気がつきました。しかし、それ以外にもカタカナの名前がいっぱい出て来るのには、正直閉口しました。なにせ当方、日本史と東洋史は比較的得意なものの、西洋史は皆目苦手です。
さらに、われわれ日本人が西洋哲学をわからない理由のひとつに、キリスト教の「神」の存在があります。なかなか乗り越えられない壁と言っていいでしょう。その部分を差し引けば、お話自体はすこぶるおもしろかったです。特に前半「エデンの園」から「ルネサンス」あたりまでは、西洋哲学にほとんど触れたことのないおじさんにも十分理解できる、出色の解説書と言っていいと思います。後半は哲学史の部分と推理小説の部分と、どちらもややこしくなって、わかったようなわからないような、なにがなんだか…? の展開になってきます。その際、役に立ったのがネットのWikipediaでした。デカルト、スピノザ、ロック、ヒューム・・・、ひとりひとりの哲学者の名前が出るたびにWikipediaを引き、解説を読んで補完し、どうやら最後まで読み終えることができました。
巻末の須田朗氏の解説に 『…もしもあなたがこの本を一度読んだなら、もう一度読むことをおすすめします。最初は気付かなかったヒントが、すでに「エデンの園」の章から、様々なかたちで仕掛けられていることに驚くでしょう』 とあります。なるほど、たしかにそうかもしれません。でもちょっとつらいなぁ。寝転んで読むには、なんといっても本が重すぎました(笑)
(追記:上下2冊に別れた普及版もあるようです)
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