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2013年2月 8日 (金曜日)

「いざ!」…都鳥つながり。

昨日に続いて、今回は「都鳥」を詠んだ句をいくつか挙げてみます。

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塩にしてもいざ言伝ん都鳥】(しおにしてもいざことづてんみやこどり):芭蕉

→芭蕉35歳のころ、江戸の俳諧仲間の春澄が京へ上るというので、餞別代りに巻いた歌仙の発句です。別れにあたって、「都鳥を塩漬けにしてでもあなたに言伝をしましょう」という意でしょうか。

いざ上れ嵯峨の鮎食ひに都鳥】(いざのぼれさがのあゆくいにみやこどり):貞室

→俳諧七部集のひとつ、曠野(あらの)に載ってました。「角田川にて」との前書きがあります。業平の歌を踏まえて、江戸の俳人を都へ上るように誘った挨拶句でしょうか。

嵯峨寒しいざ先下れ都鳥】(さがさむしいざまずくだれみやこどり):蕪村

→「泰里が東武に帰るを送る」との前書きがあります。やはり送別吟です。泰里は江戸の俳人とのことで、上の貞室の句を逆手にとって、「嵯峨は底冷えがして寒いから、さぁ江戸へ帰りなさい」という意味でしょうか。

ここまでの三句(いずれも人を送ったり迎えたりしている)は、すべて「いざ」という言葉を使ってパロディ化しているのがおもしろいです。ところが、次の一茶の句はちょっと肌合いが違います。

冬枯れもそしらぬ顔や都鳥】(ふゆがれもそしらぬかおやみやこどり):一茶

→業平以来、都鳥と言えば遠く離れた人に自分の思いを伝えてくれる鳥と言われているのに、一茶の問いにはまったく素知らぬ顔をしているというのです。これはこれでパロディになっていますが、一茶は性格がひねくれています。

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現在では都鳥ユリカモメのこととされていますが、実は冬の季語でもあるんですね。いずれにしても、都鳥を詠んだ詩歌には業平の歌が少なからず影響を与えていることがわかります。

名にしおはばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと】

の歌は、やはり感動的な名歌だということです。

5302

(鴨川にて)

【531】

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