寝ごゝろやいづちともなく春は来ぬ(蕪村)
立春を迎えました。蕪村の
【寝ごゝろやいづちともなく春は来ぬ】(ねごころやいずちともなくはるはきぬ)
を、ある人とともに鑑賞したのですが、以下そのときの会話です。
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「この句、あまり知られてないけど、のどかな立春風景を彷彿とさせるな。“気持ちよく寝ている間のことのように、どこからともなく春がやってきた” というのだから」
『なるほど、寝ている間に春がやってきたということですか…そうか! いづちは地名なんですね。織田信長がお城を作ったところ?』
「何を言うか。それはあづち(安土)だ」
『ごめんなさい、間違えました。木でできたカナヅチみたいな物のことでした』
「それはきづち(木槌)」
『え? それじゃぁ、日本書紀なんかに出て来る、想像上の大きな蛇のこと?』
「それはみずち(蛟・螭・虬など)。蕪村が言ってるのはい・づ・ち。“いづちともなく”で、どこからともなく、どちらともなく、の意味だ。漢字で書けば何方。いずかたと言ったりもする」
『そうでしたか、それは失礼しました。私は、ついついひとつのことを追求して思いつめるタイプでして、どうかお許しください…』
「ば~か。それはいちず(一途)だろ! もう、いいかげんにしろ!」
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というわけで、不毛の鑑賞会でした(笑)
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