春夜(蘇軾)
日々暖かくなってきました。蘇軾の「春夜」を鑑賞します。
春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)
花有清香月有陰(はなにせいこうありつきにかげあり)
歌管樓臺聲細細(かかんろうだいこえさいさい)
鞦韆院落夜沈沈(しゅうせんいんらくよるちんちん)
意訳:春の夜のひとときは千金の値打ちがある。花は清らかな香りを放ち、月はおぼろにかすんでいる。歌や管弦でにぎわっていた高殿は静かになった。もはや中庭のブランコに乗る人もなく、夜はしんしんと更けていく。
いい詩です。なんといっても語呂がいいです。わが国でこの詩が有名な理由のひとつは、最後の 「鞦韆院落夜沈沈」 にあると思います。たいていの人は笑って質問します。 『ちんちんって何?』 と。
『ははは…。沈む沈むと書いて、静かに夜は更けていく、という意味だよ。だめだよ、期待しても』
と答えます。たしかに「よるちんちん」とは、一度聞けば忘れない言い回しです。また、「鞦韆」は普通ブランコの意味に解釈されていますが、Wikipedia「ブランコ」の項によると、古代の中国では性具の意味があったらしいです。この詩、意外にエッチ系なのかもしれません。
↑帰宅途中に近くの公園に寄ってみました。「しゅうせんいんらくよるちんちん」とは、こんな風景でしょうか。
↑蘇軾の詩にあわせて、お月さまとブランコの2ショットです。地面すれすれから撮影するのは、結構難しかったです(笑)
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