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2013年3月11日 (月曜日)

霞みけり比叡は近江のものならず(言水)

池西言水の句を鑑賞します。

霞みけり比叡は近江のものならず

(意訳)比叡山がかすんでいる。…それがまた春の景色に興を添えている。なんといっても比叡山は都からの眺望がすばらしい。けっして近江だけのものではないよ。

5621(賀茂大橋付近より)

↑とある日、京都市内から見た比叡山。この時は雨のために霞んでおりました。

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池西言水(1650-1722)は芭蕉とほぼ同時代の人。奈良の生まれですが京都に住んだこともありました。なんでも顕昭(平安時代末~鎌倉時代にかけての歌人)の歌枕には、比叡山を近江国に属させてあり、この句はそれに反発しているのだそうです。『比叡山が近江の国の名所だって? そんなことはない。たとえ春霞にかすんでいても京都から見た比叡山のほうが美しいに決まってる』 というニュアンスでしょうか。現在でも京都人なら同じ事を言いそうです。比叡山と愛宕山は京都の景観からはずせません。もっとも、滋賀県側から見る比叡山も、それはそれで見応えがあります。言ってみれば、特にあらそうような問題でもありませんけどね(笑)

【562】

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