旅人の鼻まだ寒し初ざくら(蕪村)
蕪村の句、
【旅人の鼻まだ寒し初ざくら】(たびびとのはなまださむしはつざくら)
を鑑賞します。
(意訳)旅人の鼻が赤らんでいるそんな寒さの中、早くも初桜が咲いているのを見つけた。
花冷えとは言うけれど、こんな寒さの中でも桜が咲くのは、いよいよ本格的な春が近づいているからだなぁ…との意味でしょうか。「寒し」は、「鼻」が寒い、「花」にはまだ寒い、の両方にかかっています。蕪村作と聞かされなければ「ふん」と鼻で笑われそうな、つまらない滑稽句です。ただ、「旅」「鼻」「まだ」「寒し」「初」「桜」とすべてa音でつながっているので、語呂はいいですね。
ーーーーー
さて、京都市内の桜が次々と開花している中、散歩途中の公園はまだつぼみでした。
せっかくなので、手の届く枝を手元に寄せて撮影してみました。
なんのこっちゃ(笑)
【575】
« 近衛邸跡の糸桜(京都御苑内) | トップページ | いま桜咲きぬと見えてうすぐもり春にかすめる世のけしきかな(式子内親王) »
「 勝手に鑑賞「古今の詩歌」」カテゴリの記事
- 夏風邪はなかなか老に重かりき(虚子)(2014.05.21)
- 後夜聞仏法僧鳥(空海)(2014.05.20)
- 夏といへばまづ心にやかけつはた(毛吹草)(2014.05.19)
- 絵師も此匂ひはいかでかきつばた(良徳)(2014.05.18)
- 神山やおほたの沢の杜若ふかきたのみは色にみゆらむ(藤原俊成)(2014.05.17)
« 近衛邸跡の糸桜(京都御苑内) | トップページ | いま桜咲きぬと見えてうすぐもり春にかすめる世のけしきかな(式子内親王) »
コメント