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2013年3月20日 (水曜日)

春の夜や宵あけぼのゝ其中に

蕪村の句、

もろこしの詩客は千金の宵をゝしみ、我朝の歌人はむらさきの曙を賞す

春の夜や宵あけぼのゝ其中に】(はるのよやよいあけぼののそのなかに)

は、秀句か?駄句か? 勝手に考えてみます。

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手元の参考書、新潮日本古典集成「與謝蕪村集」には『…独自な着想と表現に俳諧の自在性を誇る卓抜な作…』とあり、東洋文庫「蕪村句集講義」には、内藤鳴雪の言として『理屈臭い句で、一寸した俳諧手段と見ればまだしも、つまらない句でありますな。…』とあります。

う~ん…、この句は秀句か駄句か、評価の分かれるところです。単純に意訳すれば、「宵と曙のその間にある春の夜」を詠んでいるだけです。ポイントは、前書きです。

1、前書きを読めばピンとくる、古典に詳しい人の感想。

 →「なんだ、それだけのことか。で、それがどうした!」と鼻で笑う。

2、前書きを読んでも何のことやらわからない人の感想。

 →「・・・それがどうしたの?」と不思議がる。

3、句の背景、すなわち、『この句を前書きから読み解けば、(中国の詩人は「春宵一刻値千金」と詠み、日本の歌人は「春は曙…、紫だちたる雲の…」と歌ったが) 宵の内、あけぼのもいいけれど、春はその真ん中の夜にこそ一番の趣があるのだ。との意味で、中国の詩人蘇東坡の「春夜」という漢詩と、日本の清少納言の書いた枕草子の冒頭部分「春は曙」という、和漢の有名人の言葉をもとに、蕪村が茶目っけたっぷりに詠んだものなんだよ。どうだい、たった十七文字の中でうまいこと言うものだろう』 という説明を聞いた人の感想。

 →これが二通りに分かれます。

  ①「へぇ、そうなんだ。蕪村ってすごい! 古典は奥深くておもしろいね(笑顔)」

  ②「あぁ、そう。(それきり沈黙)」

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要するに、鑑賞者がどれだけ興味を持っているかによって、秀句と駄句は決まります。

【571】

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