すそ野暑く頭寒足熱富士の雪(貞徳)
京都の俳人松永貞徳の作とされる、
【すそ野暑く頭寒足熱富士の雪】(すそのあつくずかんそくねつふじのゆき)
を鑑賞します。
(意訳)頭寒足熱は健康にいいというけれど、富士山はまさに健康そのものだなぁ。裾野(足もと)はこんなに暑いのに、天辺(山頂)には雪を抱いているよ。
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五七五のはじめの言葉、「すそ野」、「頭寒」、「富士」および末尾の「雪」を「ウ音」で統一しているところがミソです。標語のように語呂をよくしたうえで、四字熟語の「頭寒足熱」に富士の姿をうつした穿ちを持ってきて、笑いを誘っています。貞門俳諧のお手本のような句ではないでしょうか。詩としての感動はないですが、実に巧みな表現だと思います。
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