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2013年5月 2日 (木曜日)

大文字や谿間のつゝじ燃んとす(蕪村)

蕪村の句を鑑賞します。

「江碧鳥逾白 山青花欲然」

大文字や谿間のつゝじ燃んとす】(だいもじやたにまのつつじもえんとす)

(意訳)初夏のこの季節、鴨川越しに大文字を見上げると、谷間のつつじが、まるで燃えるように赤く映えている。

前書きに置かれている杜甫の絶句の一節、「江碧にして鳥逾々白く、山青くして花燃えんと欲す」 が効果的です。句柄を大きくしています。ここでの「江」は、もちろん鴨川です。作者は鴨川越しに大文字を眺めています。京都のイメージを言いあらわした句には、嵐雪の「蒲団着て寝たる姿や東山」、また同じ蕪村の「ほととぎす平安城を筋違いに」などが有名ですが、この句もなかなか雄大に詠めていると思います。ただ、送り火をもじって「燃んとす」としたところに、いささか俗臭さを感じるのと、全体の調べが尻すぼみなのが残念です。

ところで、大文字山の谷間には、現在でも燃えるようにつつじが咲くのでしょうか? 先日、賀茂大橋を通りかかった際に確認してみました。

6143(賀茂大橋より)

答えは「ノー」です。少なくとも肉眼では、燃えるようなつつじは見えません。というか、建築物が多く、鴨川越しに大文字の見える場所が少なくなっています。句には多少の誇張があるにせよ、より鮮明に「大」の字を見ていた蕪村を思うとうらやましいです。

ーーーーー

京都市内では、歩道に植えられたつつじが見ごろを迎えています。

6142(京都市役所前バス停付近)

【614】

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