けろりくわんとして烏と柳かな(一茶)
一茶の句、
【けろりくわんとして烏と柳かな】(けろりくわんとしてからすとやなぎかな)
を鑑賞します。…というのは、先日四条大橋のたもとの柳にカラスがとまっているのを発見したのです。まさに一茶の句です。急いで写真に撮りました。
ところが、意に反してカラスは枝に隠れたまま、なかなかその姿を見せてくれません。「せっかくのチャンスを逃がしてしまう。絶好のブログネタなのに~」 仕方なく、うちのお年寄りにポーズをとってもらいました。
カラスと樹木の取り合わせといえば、芭蕉の「枯枝に烏のとまりたるや秋の暮」が有名です。談林風から蕉風を開眼したきっかけの句ともいわれています。一茶の句は、芭蕉を意識しているのでしょうか。「けろりくわん」とは、無関心なさまを言うのだそうです。『柳は風に吹かれ、カラスはカァカァと鳴いてとまっているだけ。お互い何の関係もない』 という意味でしょうね。考えてみればオノマトペがおかしいだけで、なんでもない句でした。意気込んで写真に撮ったものの、イマイチでした。しばらくして「けろりくわん」とカラスは飛び立って行きました。
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