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2013年5月20日 (月曜日)

曲江二首(杜甫)より、其二。

杜甫の詩「曲江二首」より其二を鑑賞します。

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「曲江二首」(其二)

朝囘日日典春衣(朝より回りて日々に春衣を典し)

毎日江頭尽醉帰(毎日江頭に酔いを尽くして帰る)

酒債尋常行處有(酒債尋常行く処に有り)

人生七十古来稀(人生七十古来稀なり)

穿花蛺蝶深深見(花を穿つ蛺蝶は深深として見え)

點水蜻蜓款款飛(水に点する蜻蜓は款款として飛ぶ)

傳語風光共流轉(風光に伝語す 共に流転しつつ)

暫時相賞莫相違(暫時相賞して相違うこと莫らんと)

意訳:役所の勤めを終えると春服を質に入れ、毎日曲江の酒屋で酔いつぶれて帰ってくる。酒代のツケはあたりまえ、あちこちの店にたまっている。(でもいいじゃないか!) どうせ昔から七十まで生きる者はめったにいないのだ。花をつついているアゲハ蝶には奥深いものがある。水上を飛ぶトンボにはのんびりとした心がある。移ろっていくこの風景にことづけよう! お互いしばらく愛であって、背きあうことがないように、と。

※曲江=長安市中の池。

※朝=朝廷。

※蛺蝶=アゲハ蝶。

※深深=奥深いさま。

※蜻蜓=トンボ。

※款款=ゆっくりしたさま。

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有名な詩です。私がすばらしいと思うのは「古希」=「七十歳」の語源というよりも、読み下したときの日本語の美しさです。ひらがなで書いてみます。

ちょうよりかえりてひびにしゅんいをてんし、まいにちこうとうによいをつくしてかえる。しゅさいじんじょうゆくところにあり、じんせいしちじゅうこらいまれなり

はなをうがつきょうちょうはしんしんとしてみえ、みずにてんするせいていはかんかんとしてとぶ。ふうこうにでんごす。ともにるてんしつつ、ざんじあいしょうしてあいたごうことなからんと

言葉が、流れるように口をついて出ます。心に響きます。読み下し文が、音楽のようなリズムとメロディを持っているのはどうしてだろうと、不思議に思います。杜甫の詩の中で、特に好きなもののひとつです。

【632】

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