春の川を隔てゝ男女哉(漱石)
夏目漱石に【春の川を隔てゝ男女哉】(はるのかわをへだてておとこおんなかな)という句があります。京都で詠まれたもので、鴨川畔に句碑があるとのこと。さっそく訪ねてみました。
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句碑は御池大橋のたもとにありました。御池通りといえば京都でも広い通りのひとつです。
木屋町に宿をとりて川向の御多佳さんに
【春の川を隔てゝ男女哉】 漱石
とあります。
横に説明の立て札がありました。それによると、漱石が京都を訪れたのは都合4回で、4度目の訪問時(大正四年)のことです。木屋町御池に宿をとった漱石は、祇園の茶屋の女将磯田多佳女(いそだたかじょ)と交流をもちます。ある日、二人の間に小さない行き違いが起きて、宿から鴨川を隔てた多佳女を思って作ったのがこの句だそうです。いい句です。五七五にストーリーを感じます。なんともいえない色気があります。夏目漱石という人は、小説だけでなく、俳句や漢詩にもハッとするような作品を多く残しています。まさに文豪の名にふさわしいです。
というわけで、すぐそばの鴨川で、向こうとこっちに別れて記念撮影してみました。お互いに手を振っています。男女といってもおじいちゃんおばあちゃんですけど、ちょっとだけ雰囲気を味わうことができました(笑)
(御池大橋西詰)
【616】
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