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2013年6月12日 (水曜日)

はな紙を扇につかふ女かな(信徳)

 それは、ついこのあいだのことでした。空梅雨でやたらに暑い夜、うちのお年寄りがお風呂上がりに 「暑い、暑い」 と言いながら、ポケットティッシュで顔のあたりを扇いでいます。

『ちょっと待ってその姿! そのままにしといてや。おもしろい句があるねん。ブログに書くから。カメラカメラ!』

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 …というわけで今回紹介するのは、江戸時代前期の京都の俳人伊藤信徳(いとうしんとく、1634-1698)の句です。

はな紙を扇につかふ女かな】(はなかみをおうぎにつかうおんなかな)

意訳:鼻紙を扇代わりに使う女に、滑稽さを見出した。

ーーーーー

 いかかでしょう。鼻紙とティッシュの違いはあれど、同じような情景ではないでしょうか。扇が夏の季語で、いかにもありそうな場面です。これがべっぴんさんなら、色気を感じて “ゾクッ” とするところです。写真ではそこまで鑑賞できないのが残念です(笑)

【655】

 

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