花いばら故郷の路に似たる哉(蕪村)
府立植物園のバラ園が見ごろです。蕪村の句を思い出しました。
【花いばら故郷の路に似たる哉】(はないばらこきょうのみちににたるかな)
【愁ひつつ岡にのぼれば花いばら】(うれいつつおかにのぼればはないばら)
ーーーーー
文句なしにいい句です。蕪村を紹介した本には、懐旧、郷愁、センチメンタル、ロマンチシズムなどの言葉とともに、必ず取り上げられています。蕪村を代表する作品です。「故郷」と「茨」の取り合わせには、一茶の句、
【故郷やよるもさはるも茨の花】(ふるさとやよるもさわるもばらのはな)
もあります。一茶らしい句で、これはこれで捨てがたいですが、蕪村に比べると格調の点で劣るようです。蕪村の作品は、句集にあるもう一句、
【路たえて香にせまり咲いばらかな】(みちたえてかにせまりさくいばらかな)
を含めて傑作ぞろいです。理屈抜きに感動します。
【661】
« 塔ばかり見えて東寺は夏木立(一茶) | トップページ | 蓮葉のにごりに染まぬ心もてなにかは露を玉とあざむく(僧正遍照) »
「 勝手に鑑賞「古今の詩歌」」カテゴリの記事
- 夏風邪はなかなか老に重かりき(虚子)(2014.05.21)
- 後夜聞仏法僧鳥(空海)(2014.05.20)
- 夏といへばまづ心にやかけつはた(毛吹草)(2014.05.19)
- 絵師も此匂ひはいかでかきつばた(良徳)(2014.05.18)
- 神山やおほたの沢の杜若ふかきたのみは色にみゆらむ(藤原俊成)(2014.05.17)
« 塔ばかり見えて東寺は夏木立(一茶) | トップページ | 蓮葉のにごりに染まぬ心もてなにかは露を玉とあざむく(僧正遍照) »
コメント